ものを見るしくみ
ものを見る仕組みは、よくカメラに例えられます。水晶体はオートフォーカスのレンズ、そして像を写す網膜はデジタルカメラではCCDなどの撮像素子、フィルムカメラではフィルムに例えられる部分です。網膜に結んだ像が視神経で脳に伝えられ、脳で画像として認識されるのは、デジタルカメラでメモリに保存された画像をパソコンやスマートフォンで画像としてディスプレイに描き出すようなものです。
オートフォーカスのレンズに例えられる水晶体ですが、ある程度の弾力性をもっており、眼球の周りにある毛様体とよばれる筋肉の調整によって、近くを見るときは分厚くなり、遠くを見るときは緊張を解いて薄くなり、屈折率を変えることによって網膜へピントをあわせる働きをしています。このピント調節機能がきちんと機能している場合を正視といいます。
この働きに異常が生じ、正確に網膜に像を結ばなくなった状態を屈折異常といいます。屈折異常は近視・遠視・乱視に大きく分けられます。
屈折異常
近視
角膜と網膜の距離が長すぎて、水晶体による屈折で網膜より手前に像を結んでしまうのが近視です。これにより、遠くのものがはっきりと見えなくなります。環境や遺伝的要素によって、多くは10~15歳ごろには発症しはじめます。これを単純近視といいます。
これに対し、病的近視は目に余分な光が入らないよう暗幕の働きをしている脈絡膜にできる非常にもろい新生血管が影響し、悪化すれば視力を失ってしまうことがあります。また矯正してもなかなか視力があがらず、視機能障害をおこすこともあります。
遠視
角膜と網膜の距離が短すぎると、水晶体を通した光は網膜より後ろに像を結ぶようになります。この状態では、遠くのものを見るときも、近くのものを見るときも調整が必要になります。体が若い間は眼球の柔軟性によってある程度ピントの調整が可能で、あまり不便がないこともあります。しかし加齢により眼球の柔軟性が失われてくるととくに近距離のピント調整に強い負荷がかかるようになり、放置すれば眼精疲労をおこしてしまいます。
乱視
角膜が歪んだりでこぼこになったりして、レンズが正しい球面を保てなくなった状態が乱視で、ものが歪んでみえたり二重にみえたりします。角膜が歪んでしまった状態の乱視を正乱視といい、近視や遠視も発症しているケースが多くあります。でこぼこができた状態の乱視を不正乱視といい、こちらは角膜の炎症や外傷によっておこります。